アキバカフェ

仕事がてらに秋葉原に立ち寄った。
久しぶりの秋葉原。普段電化製品などを買うときにはネットショッピングなどを使ってしまうことが多いので、ずいぶんと足が遠のいていた。
用件を終えたのが昼前ということもあり、久しぶりに少し歩き回ってみた。
平日の昼時だというにもかかわらず、相変わらず学生だか社会人だかわからない独特な"ニオイ"を出している人たちが、妙に覚めた目で同人ソフトの販売店にたむろし、その合間をぬって、こんな季節の中水着にハイヒールという、ここでしか見られないような格好をしたオネエサンが携帯ストラップを配っている。
そんな中ふと『スパイシーハンバーグランチY』の文字が目に入ったので、ハクション大魔王のようにハンバーグがすきなわたしは、早速その『みるきぃかふぇ』に入ってみた。
そのときの感覚は、後悔と好奇心と未知への不安との混ざり合ったなんともいえないものだった。
というのも、そのかふぇは、8坪ぐらいのスペースで、壁には液晶テレビで何かの美少女アニメが流れ、BGMには「うる星やつら」がかかり、所狭しと並んだ小さな机といすの間で、金髪に染めたそばかすの多い女の子が、妙にちぐはぐなメイド風の格好で"ニオイ"のする人々にやる気のなさそうな調子でオーダーを聞いているのだ。
これがいわゆるメイドカフェというやつか。。。
頭の中では、どんな風に後ろを向くか、「いらっしゃいませ〜♪」といわれたらどんな言い訳をするかととっさに考えていたが、ほかのオタクオキャクの妙にマッタリと落ち着いている様子を見て、急に好奇心が首をもたげ、「ここにはよく来ているんだ」という顔で席についてみた。
水を一口のみ、観察モードに入ろうとしたときに気づいた。
周りがわたしを覗っている。
目線などは一切合わないが、周りの会話の雰囲気や、また、一切目線が合わないところでわかる。
それもそうだ。
となりにはいまどきアーミールックにレイバンをかけた、体臭のきついデブもといDBちゃん。反対にはプレステマガジンをよむ、ねぐせのたったのっぽくん。後ろには台湾人らしき若者が二人。その中に一人三つ揃えにダークコートを着たビジネスマンがいるのだから。
その時点でもぬぐえない後悔と、わけのわからない優越感、なぜか疎外されたような劣等感。
それ混ざった感覚を顔に出すまいと、金髪のメイドにスパイシーハンバーグを注文した。
また、ハンバーグが来るまでの間の長いこと。実際のところは5分程度だったのだろうが、観察者が観察されるとこんな気分なのか。相対性理論は正しいね。
ハンバーグがスパイシーだったかは覚えていない。そそくさと食べ終え、何もなかったようにレジに向かう。
「今日はバレンタインデーなので、わたしたちからのサービスです」
小さなチョコレートをもらう。
なんとも複雑だ。